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ゲームの感想など

2016シーズンの楽天イーグルスを振り返る

 確実にいえるのは、昨年よりはマシだった

 3年連続の最下位をギリギリ回避した。これはマー君が抜けてから初である。ただ勝率自体に大きな差はない。つまり、たまたま最下位ではなかったというだけ。

 

今年を表す3行

ルーキー茂木という希望

ウィーラーと外国人野手

投壊と守乱

 

ルーキー茂木という希望

 ドラフトでは地元出身で甲子園でも活躍した仙台育英の平沢に注目が集まった。チーム最大の補強ポイントであるショートで、しかも長打力もあるという。人気、ポジション、実力すべてに期待が持てる選手であったが、ロッテとの抽選に破れ獲得を逃す。結局1位指名はオコエ瑠偉だった。オコエは俊足と守備範囲こそ本物だったが、バッティングはまだまだ成長途上のようだ。梨田監督は代走や守備固めで引っ張らずにスパっと2軍送りを決めた。素晴らしい見切りだったと思う。

 ドラフトは4位まで全員野手指名という異例のものだった。その中で掘り出し物だったのが3位指名の茂木栄五郎だ。当初はバッティングに自信のあるサード、ということだったのに、ショートをやらせてみると意外にうまくいったとのことで、それを続けてみたら最終戦まで来ちゃったよという選手(途中怪我で離脱することもあったけど)。

 まずなんといっても守備が最低限レベルだったことが大きい。守備指標的には、12球団平均くらいなのだけど、比較がオジサンたちということもあり、ここ数年見てきたファンからすると感動するレベルの守備だった。というか去年2015年のSS守備指標がぶっ飛んでやばい。やはり守備機会の多いショートというポジションは若々しい選手のほうが向いている。

 そして指名時に評価されたバッティングのほうも見事だった。打撃指標では外国人のウィーラーに次ぐレベルで、ルーキーでOPS7割を達成した。盗塁11、三塁打7本、ランニングHR2本というデータが裏付ける俊足には驚かされた。

  12球団一のエラー数も、得点圏打率の低さも、すべて「若いから」で吹き飛ばせる。希望の存在。楽天に興味のない人でも名前だけでも覚えてもらえると嬉しい。ラグビーの五郎丸、楽天の栄五郎。

 

ウィーラーと外国人野手

 楽天はパワーのある日本人野手がおらず、長打力は外国人頼みなところがある。楽天が上位に食い込むには「外国人大砲がいる」以外のシナリオはない。そんななか今年覚醒したのがウィーラーだった。去年はHR14本、OPS.791という悪くはないけども、物足りなさもあるという成績だった。切られてもおかしくなかったが、練習態度が評価され再契約を勝ち取った。その練習態度は本物だったようだ。今年はHR27本、OPS.829と成績を大幅に伸ばした。何よりも良かったのが、昨シーズンわずか91試合に留まった出場試合数が今シーズンほぼ全試合ともいえる140試合まで伸びたことだ。一時の活躍ではなくシーズン通して好成績を収めた。チーム打撃部門でMVPだ。

 ウィーラー以外の外国人ではペゲーロが51試合でHR10本、OPS.832と途中加入にしてはなかなかの好成績を残した。

 今年契約した外国人打者5人のうち4人の残留が決定している。ウィーラーほどではないとはいえ、ペゲーロのように期待のできる選手もいる。にしても4人残留とはなかなかない。ウィーラーの例もあるし、安ければ抱えておきたいということか。

 

投壊と守乱

  去年よりもチーム防御率が悪化した。指標を見る限り、チーム投手力自体は悪化するどころかむしろ向上している。11勝11敗のエース則本も、指標をよくみるとチームトップの貢献度で、これはリーグでも上位のレベルである。問題は2年連続12球団ワーストの守備力である。悲しいことに、どこが穴というレベルではなく全体的に悪いのだ。*1

 名手と呼ばれるセカンドの藤田は実はリーグ下位レベルであることはここ数年のデータが証明している。また代表のキャプテンでもある嶋が、守備指標、盗塁阻止率、捕逸数どれをとってもリーグ平均かそれ以下であるのも毎年のことである。セイバー的に無視されるリードの部分ではいいと思う。チーム奪三振数が毎年トップクラスなのは、嶋のリードに加え、そもそも「打たせて取る」よりも「打たせない」ほうが期待値が高いからというチームの意図があるのかもしれない。

 ということで、最大の補強は、「楽天以外の選手を獲得すること」に尽きる。いやほんと、FA選手でもなんでも獲得できるなら全員獲得したほうがいい。悲しいかな、これが現実。ドラフトでは通常下位チームは投手ばかり拾っていくものだが、今年野手を獲りまくったのも、そうした事情があるのかもしれない。次も野手中心にとっていくことになるだろう。

 ちなみに去年楽天についで12球団ワースト2位だったDeNAの守備力は今年中位くらいに落ち着いている。

 

総括

 イチファンとしては今シーズンとても楽しめた。2年連続最下位の日々と比較してだが…。今年は開幕前から新監督、天然芝、甲子園のスター&FA選手獲得…などワクワクする材料が多かった。開幕後もチーム成績こそ振るわなかったものの、ルーキーが躍動し、球場には観覧車やメリーゴーラウンドができるなど興味を失うことがなかった。野球チームとしてはイマイチだけども、ビジネスとしては大成功の年だったんじゃないかな。球場の声量も増している気がする。

 ただ肝心のゲームにはワクワクするどころか、情けなくて呆れることが多かった。しかし茂木やウィーラーといった個で輝く選手がいたことが野球観戦の気持ちを繋ぎとめてくれた。イチローがいた時代のマリナーズファンの気持ちがよく分かる。やっぱり最大の見世物は野球なのだから。彼らは希望だ。

 球団の努力は痛いほど伝わってくる。選手もどうか答えてほしいのだが。

 

 

参考サイト:1.02 - Essence of Baseball | DELTA Inc.

 

*1:壊滅的だったショートは大幅に改善されたのだが…。