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2019シーズンを振り返る(野手編)

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2019シーズンを振り返る(投手編) - GOD_SPEED_YOU

 

野手編(この記事)

 

~野手編~

 

 規定到達6人はチームとしては2年ぶりでその時も3位でした。ちなみに優勝した2013年は7人が規定到達。今年優勝したライオンズはなんと8人が規定到達。「調子の波」とか「怪我はつきもの」とか「だから層の厚さが云々」とか言われるけど、戦力の持続性、あるいは再現性という意味で事故がないに越したことはないですね。

 

 

捕手

打率 本塁打 打点 出塁率 長打率 OPS

嶋  57試合 .209  3  15 .298 .336 .635

堀内 65試合 .156  0  13 .202 .205 .406

太田 55試合 .218  1  6  .279 .271 .550

足立 21試合 .153  2  4  .190 .333 .524

山下 31試合 .183   3  5 .222 .350 .572

  こうして打撃成績だけ並べると、全員控え選手かな?と思えるほどの低レベルな争い。チーム最大の穴は今年も埋まらず。毎年書いてますが、は限界。去年盛り返しましたが、今年はパフォーマンス以前にフィジカルにも問題があって出場わずか57試合。盗塁阻止率が1割を切って、なおかつ被盗塁数が40超え。出場57試合でこれはもう毎試合走られているようなものです。盗塁阻止はピッチャーの技術によるところもありますが、堀内太田の阻止率が3割を越えていることを考えると、やはり嶋個人の能力の問題だと言わざるを得ないでしょうね。打てないはともかく守れないとなると選手としての使い道は……。

ここで、嶋退団のニュースが。指導者ポストを用意するから引退せいということだが、本人はまだ正捕手で頑張りたいと。イーグルスで引退して欲しかったが本人の気持ちを尊重したい。ヤクルト嶋応援しよう。

 堀内は65試合と5人の中では最多ですが、打撃は144打席立ってわずか19安打(うち単打15)と5人の中で最も遅れをとっています。守備は無難で文句ありません。はじめましての投手が多い中で、気を遣うことも多かっただろうに良く頑張ったと思います。ひとまずは守備である程度やれることを証明してくれただけでファンとしてはホッとしました。

 次点は55試合で太田光。あのお方と同姓同名のネタ枠ではなく、なんと全体13番目のガチ指名(ドラ2)です。貴重な最下位の2位指名が捕手。それだけ大きな穴ということです……。守備は予想以上に良く肩の強さはチーム内では1番かもしれません。打撃は率的には堀内とどっこいどっこいだけれども、打球は太田のほうが力強く、プロ初HRもありました。打数が少ないうえ低レベルな比較ですがOPS1割の違いは大きいと思いました。なんといってもルーキー。上々のデビューだったと思います。

 足立はやはり今年太田をとった影響を大きく受けたように思います。若い2人の争いには年齢的に加われず(挑戦権すら減って?)出場機会はますます減っていくでしょう。ただ最年長捕手ということもあって、投手陣にとっては頼りになる存在のようです。特に則本から信頼されているようで、今年もCSでは先発マスクでした。

 山下は捕手登録ですが、主に代打要員で正捕手としては認められていないようにみえました。他のポジションに活路を見出すにも、6人も規定到達するようでは与えられる場所もチャンスも少ないです。打撃を評価されているのは確かだけれども、そのせいか送られる場面がいい場面すぎて好投手を相手せざるを得なくなり、結果を残しづらくなってるところもあると思います。結果が査定にモロに反映されるチームなので、こういう使われ方はかわいそう。チームでも屈指の迫力のあるスイングをしていて、なおかつ26歳とまだ若い。選手としてはまだまだイケると思いますが……。

 

一塁手

銀次 141試合 .304  5 56 .370 .382 .752

 なんと銀次が4年ぶりに3割復帰という快挙。この人の成績は毎年安定感がありますが、今年はそれが多少上振れしたという印象です。難点としてはこれはもう根源的なことだけれども、一塁手のわりには長打が少ないことが挙げられます。3割乗せるほど打っていてもOPSはわずか7割5分でリーグで規定到達した30人中21番目の数字です。セイバー的には「一塁手にしては」トップクラスの守備と平均的な打撃といった評価になります。また走塁面でのマイナスも大きく、本当に率だけの選手という感じです。それでもコンタクト率が高く三振も少ない勝負強いバッターというのは希少で、1点の重みが大きい接戦では頼れる存在です。キャプテンが打つというだけでチームは盛り上がりそうですしね。真価を発揮するのはポストシーズン。チームが強くなってきた今だからこそ価値が増してきたように思います。

 

二塁手

浅村 143試合 .262 33 92 .372 .507 .878

 浅村。2年前の岸を超える超大型補強。 表向きは4億20億でも、一部報道では4年総額30億超えとか。真相はともかくそれだけの選手なのは間違いないでしょう。今年の成績は、3割30本100打点に近い成績を安定して残している例年に比べるとやや見劣りする成績でした。特に打率が低いのがやや目立ちます。原因は三振が増えたことで、昨年より57増の162三振、これはリーグワーストです。ちなみにワースト2位以降はブラッシュ、山川、外崎、レアード、中村と続き、セリーグでは10代本塁打記録を更新した村上が184と群を抜いているものの、筒香、岡本、丸、坂本とやはりホームランバッターが並んでいます。力強いスイングを求められるホームランバッターにとって三振が増えることは不可避で、浅村の場合は長打不足のチームを救って欲しいと言われて特に力が入ったのかもしれません。

 初年度だということも考慮すると十分すぎる成績だと思います。何より重要なのが、こんな33本も打つような選手がセカンドだということ。しかも驚いたことに、そこそこうまい。打撃でも守備でもプラスをつくりWAR6.2はチーム1位、リーグ3位。

 

 2年前の交流戦カープと対戦したとき鈴木誠也のスイングにびっくらこいたことを今でも覚えています。ブーン!という大振りではなくシュッという鋭いスイングで岸からホームランを打ったのです。浅村のスイングはそれに似ていて、普通の選手なら振り遅れで空振りだろうなってところで鋭いスイングでファウルに逃げる技術というかフィジカルというか、他の選手にないものを持っていると思います。器用さも兼ね備えていてチャンスで右打ちに徹したり、そしてその逆方向の当たりが柵を超えたり。もちろんHR狙いの大振りもあって、空振りであっても見応えがあります。スリーボールから打っても許せるのは彼くらい。代表でも大活躍で、純粋に観ていて楽しい選手だなぁと。

 

三塁手

ウィーラー 117試合 .243 19 67 .320 .418 .738

渡邊佳明 77試合 .224 1 26 .274 .284 .558

 スロースターターな例年とはうってかわって、今年は春から調子が良かったウィーラー。その反動か逆に夏場に調子を大きく落としてしまい、6~8月は打率2割を切る大ブレーキ。象徴的なのは併殺数で、前半戦だけで18本と日本記録更新ペースでした(最終的には22本)。ちなみに日本記録はブーマーの34本。終盤調子を取り戻しましたが、結局全体的に低調な数字で終わりました。数字の残しどころ?である対ストレート打率が2割を切っているのが問題で、衰えが出てきたのかなという感じです。ただ長打力は健在でホームラン19本はチーム3番目の数字。試合を決める1発も多く放ちました。たまに大仕事をしてくれるが基本眠っているというのが今年の印象。毎年のことながらもう少し安定感があったらな。

 

 次点でドラフト6位ルーキー渡邊佳明。祖父が横浜高校の元監督ということで通称孫。一応内野手登録。数字こんなに悪かったぁ!?ってくらい自分の印象では大活躍でした。打撃は今年のルーキーで1番。218打数のうち56打数が得点圏(これもすごい)で、得点圏打率はなんと.393。もはや神がかりのレベル。打撃スタイルはすべての球種を全方向に満遍なく打ち分けることができる巧打者タイプ。打てない球はないんじゃないか?というほど対応力が高かったです。ひょっとしたら大化けするかもしれませんね。ユーティリティプレイヤーで内野はどこでもこなせるようです。外野も挑戦しましたが、CSでは付け焼き刃な守備を見抜かれて致命的失点をしたのは記憶に新しいところ。サブレベルとしては十分で、打撃も期待できるので、来季以降は出番がもっと増えると思います。

 

遊撃

茂木 141試合 .281 13 55 .358 .421 779

 今年頑張った茂木。1番良かったのは試合数が増えたこと。一昨年のほうが出塁率長打率も高いですが、出場数が40試合も増え、打席も200以上増えた今季の成績とは比べようもありません。フィジカルを心配されてサードへのコンバートまで考えられていたことを思えば、よくここまで頑張ったな、やってやったなと称賛を送りたいです。

 大ブレイクした一昨年と比べるとヒット数が格段に増えていて、一昨年がシーズン118本のところ、今年は前半戦だけで100本。調子を落として最終的には160本でしたが、これでも銀次に次ぐチーム2位の数字。足も速く二塁打三塁打の数はチームトップ。しかし盗塁は成功率5割で2ケタにも到達できず。

 守備は可もなく不可もなく。オールスターでの浅村との併殺プレーは印象的だったけれど。試合に出てくれるだけで大助かりだ。

 

外野

島内 133試合 .286 10 57 .372 .407 .779

辰巳 124試合  .229 24 4 .320 .318 .639

田中 59試合 .188 9 1 .298 .269 .567

オコエ 52試合 .182 15 3 .242 .300 .542

  外野で唯一レギュラーといえたのが島内。今年は繋げる4番として開幕の快進撃を支えました。この起用法は評価が割れましたが、チームが好調のうちは維持すべきだという意見は多くの人で一致していたように思います。しかしタイプとしてはクリーンアップというよりリードオフマンであり、チームの調子が落ちてからは上位で起用されることが増え、実際そのほうが馴染んでいました。ボール球スイング率18%、コンタクト率90%と、ボールを見極め三振しないスキルに長けているようにみえますが結果には結びつかず。ポテンシャルのわりには数字が伸びなかった印象です。得点圏打率は.342とチームトップであり、規定到達も3年連続でした。他ファンにも名が売れてきたのではないかな。来年FA取得見込みというのが本当に恐ろしい。

 次点で124試合出場の辰巳。外れ1位とはいえ4球団も競合した野手を獲得するのは球団初。守備固めで出ることも多かったので規定には到達せず。とはいえ369打席は規定未達ではチームで1番多く、レギュラーとはいえなくとも、最も将来を期待できる選手に最も打席が与えられたということでしょうね。興味深いのが、彼が最後まで、つまりCS中もずーっとフルスイングを貫き通したこと。コーチ監督GM含めて彼には大型野手になって欲しいという期待があるのでしょう。チーム4番目の101三振は大物の証だと思いたい。なかなか塁に出られませんでしたが、盗塁数がチームで唯一の2ケタ、しかも成功率8割と上々の数字。塁にさえ出られれば……。打撃は育成の感じが強かった一方、守備においてはすさまじく、センターの守備範囲は12球団トップクラスの数字を残しました。個性的なキャラクターで、彼の受け答えは機転がきいて外れがありません。まったくの道化ではなく多少のマジっぽさがあるところがイチローっぽい。マジで大成して欲しい。

 去年18本も打った新人王田中。怪我に泣くとはまさに今年のこと。代表に選ばれながら直前で足首捻挫、シーズン始まっても左手三角骨骨折で離脱。この離脱はそもそも発見が遅かった。調子悪いな~と思ってたら実は怪我してていて、それも骨折。復帰後も負担軽減のため右打席封印するなど、果たしてあれで復帰と呼んで良かったのか。ファンとしては1年中リハビリを観ていた印象。

 オコエ。動作解析の専門家に師事するなどしてシーズン序盤こそ大活躍でしたが、最終的な数字は昨年とほぼ変わらず。昨年からの傾向として、ヒットの半分近くが長打、四球が極端に少ない、ボール球スイング率が3割を超えているのが特徴。当たれば飛ぶが当たらない、見極めも悪い。シーズン序盤は、ボール球に反応しても何とかカットできるほどスイングに鋭さがありましたが、試合を重ねて疲れがたまったのか、鋭さが消えるとやはり見極めの悪さが目立って三振と凡打の山でした。スイングが良いときは本当に凡退でも見応えがあって面白い打席なのに、スイングがダメなときは三球三振もあるくらい淡泊。ただスター性は健在で、チャンスに強く、大舞台であるCSでは千賀からホームランを打つなど目を引く活躍。緊張感のある場面で燃えるタイプなのかもしれません。是非ともそれ以外の場面でも集中力を高めて欲しいです。

 

 DH

ブラッシュ 128試合 .260 33 95 .397 .540 .936

 新外国人ブラッシュ。まさかまさかの大当たり。シーズン序盤は下位打線で「まあ長打だけ打ってくれれば」という選手だったのに、日本の投手に慣れたのか途中から率も打順も上がり、終盤はすっかりチームの大黒柱に。ウィーラーと立場逆転したみたいです。各種セイバー指標でも軒並みリーグトップクラスで、浅村に匹敵する大打者っぷりでした。

 wRC+という指標では浅村を突き放してのチーム1位で、打撃能力だけを見た場合チームで1番の野手ということになります。どの数字を引いても上位ですが、IsoDでトップなのは裏があります。選球眼が良いのも確かですが、後に続く打者次第で勝負を避けられていたこともあります。敬遠はありませんが、敬遠気味の四球はたくさんあったように思います。また死球王(17個)でもあります。つまり敬遠気味の四球と相手の投球ミスである死球のおかげで率をごまかせていた面もあったかもしれないということです。ただ長打力だけはごまかしようもない本人の実力で、当たれば飛ぶ、でもなかなか勝負はさせてもらえないという打席が多く見られました。穴を見つけられて勝負をさせられるようなことになればチームは終わりでしょう。

 ちなみに外野守備は自信があるのか、だいぶ余裕にこなしていました。DHを休養枠として使えるのでチームとしてもなかなか助かりました。

 

 その他

 藤田…浅村(セカンド)獲得の最大の影響を受けたベテラン。腐ることなくサブ要員としてセカンドショートサードと万能な活躍。たまの出番でも勝負強い打撃で、率は低いけど華はあり期待を持てたバッターだった。

 村林…平石監督の置き土産?身体能力抜群のショート。守備固めで50試合以上出場。打撃さえ何とかなれば茂木の後釜は盤石に。

 下水流カープとのトレードで加入(イーグルス側の菊池はカープで大活躍)。全体的に左打者が多いチームのなかで希少な右の外野手。加入直後こそスタメンとしてチャンスを与えられていましたがイマイチ結果を残せずその後は代打起用が多かった。打撃は1軍でも戦えるレベルにあるようにみえる。ただチームの外野事情を考えてもチャンスはもうそんなにない。対左の代打専として割り切るにはまだ早い年齢だがはたして。

 和田…ジャイアンツとのトレードで加入。去年の二軍の本塁打打点の二冠王。プロに入って初めて100打席立ち、ホームランも2本打った。上々の滑り出し。守備は外野手登録だが本職は内野で、起用法的にはファーストかサードで銀次の後釜になって欲しいところ。もちろん大砲として。

 フェルナンド…涙のヒーローインタビューが印象的。活躍したとは言い難いが、チャンスを与えられるほどには成長したのは確かだ。今年はフェルナンドに限らず首ギリギリの選手の活躍が目立った年だったと思う。

 岡島…岡島捕手やるってよ。

 

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