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2020シーズンの展望【楽天イーグルス】

 

 

開幕延期

 今年は早めの開幕になる(3月20日)予定でした。東京五輪による中断期間があるためです。ところが皆さんご存知のように、新型コロナの影響で東京五輪は延期され、プロ野球は3か月遅れての6月19日開幕となりました。例年だと交流戦が終わってリーグ戦に戻り、まもなく前半戦終了くらいの時期になります。地方球場での試合、交流戦、オールスターは中止、またセリーグのみCSも中止となりました。パも1位と2位のみの対戦で3試合先勝(1位に1勝のアドバンテージ)という縮小開催となります。

 

過密日程

 なんとか120試合をやろう!ということで、鬼のような日程が組まれました。月曜日だけが休みの週6試合を5か月(20週)続けるのです。わかりやすくていいですね。

 今日は何曜日だ?

 →月曜日ではない

 →じゃあ野球の日だ! となるわけです。

 予備日はその貴重な休みの月曜日と、基本日程終了後~日本シリーズまでの2週間のみとなっています。月曜日に試合が組まれると6連戦と6連戦がつながって13連戦となるのが確定します。かといって日本シリーズ前に予備日をもってこられるとパの1位2位チームはすぐCSもあるわけで、息つく暇もありません。

 また対戦カードについても今年は特殊です。7月いっぱいまでは同一カード6連戦が基本となり、8月以降は同一カード3連戦となりますが同一球場6連戦の形は崩さないままシーズンを終えます。この基本的に「移動しない」という条件があるため予備日はおそらく月曜日に容赦なく放り込まれるでしょう。13連戦はよく見る光景となりそうです。

 シーズン序盤は当面無観客試合となり、その後キャパシティの半分まで入場の緩和、その後は状況をみて完全解禁ですが、どうでしょうかね。少なくとも現状特効薬はなくワクチンも早くて12月とされていますから、現実的に考えると今年満員の球場を見ることは無理そうです。ただここまでの感染経路をみると、飲食店やカラオケ店など、密閉された環境で飲食や発声など口を開けるところが中心となっています。たとえば満員電車などではクラスターは起きていないわけですから、応援歌禁止とか、飲食禁止とかといったルールの範疇なら客は入れても大丈夫なような気がします。

 

感染防止特例2020

 今年のみの特別ルールが制定されました。超過密日程を戦う選手の負担を少しでも和らげるというのが目的です。

延長10回打ち切り

1軍登録2人増

ベンチ入り1人増

外国人枠1人増(制限付き)

 1番わかりやすい変化は延長10回打ち切りでしょう。どんなに長引いても10回までということで、先発が6回まで投げてくれればあとは4人で大丈夫のように逆算ができるようになります。野手についても、「あとは絶対に打線が回ってこない状況」が生まれるでしょうから、その隙を見逃さない選手起用の綿密さが求められます。

 引き分けが増えることも予想されます。引き分けが増えると、勝率の関係で勝ちの価値が増すので上位のチームほど引き分けは有効となります。これは上位を狙えるイーグルスにとってはチャンスです。

 

 他3つは選手枠の拡大です。出場選手登録が2人、ベンチ入りは1人増えますが、これはもう全球団投手でしょう。

 ギリギリまで議論されたのが外国人枠の拡大です。

 ①5人登録することができる

 ②試合での運用(ベンチ入り)は4人まで

 ③5人登録した時の最初の投手野手の比率は変えられない (2:3を3:2は可能)

 ④4人以下なら従来通り

 ①通常は外国人枠4人ですが今年は5人までいけます。

 ②とはいってもベンチ入りできるのは4人までですので、試合的には変化はありません。

 ③外国人5人を選手登録する場合、一度決めた投手野手の比率の変更は原則できません。これはたとえば、投手4人野手1人という比率で選手登録をした場合、今シーズンはその後に投手1人、野手4人や投手2人、野手3人といった異なる比率にすることはできないということです。2:3や3:2の場合はどちらでも可能という謎の特例があります。

 ④これは外国人5人を登録する場合の特殊な制限であり、従来通り登録4人にすれば自由に配分が行えます。

 

 近年は同じような実力の外国人を登録枠以上に複数人抱えてローテーションさせるチームが多いです。実力的に一線級の選手が常に2軍に控えているわけです。たった1枠の拡大でもそうした戦力運用しているところとそうでないところで大きな戦力差が生まれます。たとえば先発投手は投げる日だけベンチ入りすればいいだけで、それ以外の日は基本いませんから、その間別の外国人投手を使い放題なわけです。また打線に2人を常に起用しつつ、3人の外国人先発投手をローテーションに組み込むことも可能です。

 開幕直前の発表というのも不公平感がありますが、比率の制限と、制限が解除される特別な比率など、運用指針が謎すぎます。明らかに外国人を多く保有するチームに有利なルールとなっているのはどうなんでしょう? 一応補強期間は長くとられていますが、来日してから2週間は待機が命じられる今の世の中、迅速な補強がどれだけできるんだろう。選手の負担を減らすためのルールが、結局は選手層の厚いチームがもっと効率的に選手を運用できるルールとなったのでした。

 

 

 イーグルス2020の展望

 さあやっとイーグルスの話です。美馬が出て行ってしまいましたが、それを上回る大補強があった新戦力の話から。

 

ロッテとのトレード?

 ロッテと「美馬+ハーマン+小野+西巻⇔鈴木+涌井+酒井」という4:3のトレードのような選手の行き交いがありました。

 美馬は今の時代に貴重な規定回を投げる先発、ハーマンは勝ち継投、小野は高卒ドラ2で今は2軍の守護神、西巻はイーグルスアカデミーかつ仙台育英出身の地元の星…と出ていった選手もなかなかですが、獲得した選手もすごいです。

 

鈴木大地獲得

 最大のトピックスは鈴木大地獲得でしょう。まず何といっても人間性プロ野球ファンの中では有名です。打席前に一礼する姿やTVインタビューでの謙虚で真摯な受け答えの様子は他チームファンながら好印象でした。

 打撃ではわりと長打を打つタイプだな、と警戒して観ることが多かったです。調べてみると通算ではそれほど多くないようです(今年は例外的に多かった)。成績は毎年安定していて、特に目を引くのがプロ8年の通算の出塁率が.348というところ。リードオフマンとして地味ながら優秀な数字を毎年残していることがわかります。昨シーズンはHR15本でOPS8割超えとキャリアハイでした。長打率から単打を除いたIsoPという指標では.165で規定到達者の中では真ん中あたりですが、茂木以上ウィーラー以下の長打力といえばなかなかの強打者という気がします。ただ繰り返すように、昨シーズンは例外的にすべての数字が高いのでそのまま今シーズンも期待できるかというとそうでもないでしょう。

 守備はショート→セカンド→サード→ファースト(外野)と変遷していってるのですが、これはどこでも守れるユーティリティプレイヤーというより守備のクオリティが低くて移らざるを得なくなったパターンが多いようです。昨シーズン1番出場が多かったファーストの守備力は銀次未満であり、もし使うとしてもサードが定位置となりそうです。ただサードにはウィーラーがいます。FA入団者を優遇するのは当然ですから、ウィーラーは外野かDH(あるいは代打枠?)に回されるのは間違いないでしょう。

 鈴木大地に大いに期待できそうなのは、通算8年で初年度以外のすべての年で140試合以上出場というタフさです。今年は特にそのタフさが問われるシーズンですので、戦力の持続性という意味でも存在感が高まりそうです。

 

涌井と酒井

 涌井は金銭トレードで獲得と表向きはなっていますが、実際は「美馬の人的補償でプロテクトから漏れていたけれど、一流だから気を使った説」が主流なようです。かつてはプロ野球界を代表するエースも今はもうそういう立ち位置になっています。しかし練習試合では好投を続けていますし、普通に戦力として期待できそうです。なんといってもベテランですから、彼から教わることはたくさんありそうです。

 酒井は3年目ながら昨年は54登板するなど、敵ながらよく見ていた一線級の選手です。そんな選手がまさかプロテクト漏れするとは思いませんでした。中継ぎ運用が基本だと思いますが、先発でもなかなかいい投手という印象があります。まだ26歳と若いので、長期的にみると3人の中で1番の活躍してくれるかもしれません。

 

牧田獲得

 「楽天ライオンズ」なんて言葉がますます広まりそう。アメリカに渡ってなんと昨年はAAAではなくAAで投げていました。メジャーの2つ下!そこそこ成績は良かったとはいえ日本時代のときほど期待はできないかなぁというところです。でも開幕一軍にはしっかりと入っていますし、普通に戦力になってくれそうです。

 

新外国人ロメロ&シャギワ

 ロメロはオリックスでお馴染みの大砲。日本通算3年で69本という長打力が持ち味で、日本に慣れているだけに計算もしやすい。外野を守るというのもチーム的に嬉しいところ。昨シーズンは外野で計算できたのが島内だけでした。

 シャギワはメジャーとマイナーを行ったり来たりしていた投手。とはいえあの常勝ドジャースでメジャー枠を勝ち取るのはなかなかのこと。今時のメジャー投手らしいスラッター使いで、そんなスタイルにすっかり慣れているだろうメジャーリーガーすら苦しんだ(被打率1割)スラッターが日本で通用しないはずがない。まぁボールの違いとかはありそうだけど、まず信頼できる。

 

ルーキーたち

 ドラ1の小深田は24歳の内野手。ドラ1で24歳ってどうなんだ?という思いはあるものの、フィジカル面で不安がある茂木の代役は必要といえば必要。特に今年は特にね。ただ数年先はどうなるかわかりません。打撃はまだまだですが、守備は驚くほど動きがいいです。茂木よりは間違いなく上で、ドラ1はウーンとしても守備固めとしては価値はあるでしょう。

 ピッチャーではドラ3の津留崎がとてもいい。伊藤コーチが新人王候補と持ち上げるほどの逸材。練習試合でチラっとみた程度ですが、球の勢いがすごいね! 良いときの則本みたいな球です。変化球もスラッターと速いカーブのどちらもキレが凄まじい。ただそんなすごい球を持っていても初対戦で打たれるケースが多いようで苦労はしそうではあります。でも、あんなキレッキレの球を見られるというだけでもワクワク。開幕前まだニュースがコロナ一色の中、ほんのわずかなスポーツコーナーで、「筋トレが趣味の津留崎が~」というのんきなニュースをやっていて、思わず笑ってしまった。すごいんだって彼。

 上2人は即戦力として開幕から出番がありそうなのに対して、ドラ2の黒川は今は未熟でも将来的にチームの主軸になっていきそうな選手。高卒素材型とはいえ、すでに評価する声もチラホラ。強打のセカンドといえば浅村がいる。ロマン枠。

 

順位予想

 3位で監督の首を切った理由は、「もう少しできるはずだったから」というのが理由だった。つまり昨年はもっと勝てたはずで、さらに戦力を増した今年は2位どころか優勝すら狙ってもらわないと困る……と意気込んでいたが、コロナ騒動を経て、もう順位なんてどうでもいい感じに。無事に全チーム120試合こなせたら今年はもうそれでいいんじゃないかな。メジャーなんかいまだに開催するしないで揉めているし、開催したとしても50試合くらいでポストシーズン中心となるらしい。もうリーグと呼べるのかどうかって次元。野球以外でも今年のスポーツはガチ対戦というより息抜きの1つのようになっている。コロナという非日常に慣れた今となってはスポーツのほうが非日常になっているんだね。仕方ないか。

 

まじめな予想

 走塁改革に注目。バカみたいに刺されまくる光景は今年で見納めにしてほしい。というか少しでも良くなる傾向がなければ、また監督が代わってしまうのではないだろうか。あまりにもシビアすぎると誰も監督を引き受けてくれなくなりそう。後はいい加減定位置を掴んで欲しい人がチラホラいるので、彼らがちゃんと伸びてくれるか。キャッチャーは堀内が怪我で出遅れる中、太田が信頼をつかみ取れるか。外野は実質安泰が島内+外国人枠だけで、その島内もFA間近なこともあって、誰か出てきてもらわないと本当に困る。候補はたくさんいて、田中、辰巳、オコエ、小郷、内田、山崎、渡邊……。誰か来い!というより、お願いします来てくださいという気持ちです。

 投手のほうでは先発挑戦の松井に注目。練習試合ではまずまずといったところで、抜群ではないけども最悪ではなかった。美馬が抜けた穴はもちろん、今年も出遅れている岸の分まで最初から頑張ってもらいたい。

 そんな松井の空いた抑えには森原が指名された。昨シーズンは圧巻だったが、プレッシャーのかかるポジションではどうか。ハーマンが抜けた穴に入るシャギワの能力が本物かどうか、新戦力の牧田、酒井、津留崎が勝ち継投に食い込めるか。とにかくリリーフさえしっかりしていれば、最近の野球は勝てる!

 あ、あとはケガしないことが1番。

 

予想スタメン

(遊)茂木(新キャプテン)

 

(三)鈴木

 

(二)浅村

 

(右)ブラッシュ

 

(左)島内

 

(DH)ロメロorウィーラー

 

(一)銀次(内田)

 

(中)辰巳(小郷、山崎)

 

(捕)太田(堀内)

 

 

おわりに

 今年は特殊だね。今シーズンに懸ける意気込みに自分のためという言葉は聞かない。チームのためとか、観ている人に元気になってもらいたいとか、勇気づけたいとか、そういう言葉が多い。国内のプロスポーツ再開の先陣として、ただのスポーツに留まらず社会的にも大きな意味を持ったプロ野球開幕。不安もあるけどワクワクのほうが大きい。