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【ツール2016】3週目の感想(17~21stage) と総評

 

【ツール2016】記事一覧 - GOD_SPEED_YOU

 

3週目終了時予想

 総合:フルーム

 山岳:マイカ

 ポイント:サガン

 新人:イェーツ

 

3週目終了時結果

 総合:フルーム

 山岳:マイカ

 ポイント:サガン

 新人:イェーツ

 

予想的中…サプライズがなかったともいえますが…。

3週目はスカイ以外のチームもよく頑張ったと思います。

アスタナがひいて→BMCがひいて…のようにスカイ以外のチームの連携がそれなりにできていました。

それでもスカイ、そしてフルームは強かった…。

 

ひとまず総合は後回しにします。

 

マイカ

 山岳賞争いのなかでは明らかに頭一つ抜きん出てた。総合と同じくライバル不在だったかな。

 

ポイント賞サガン

 5年連続ポイント賞+今年はスーパー敢闘賞も。今年はステージも3つとって、文句のつけようがない。ただジャージを狙っているだけでなく、チームメイトのアシストもこなす貢献力が評価されたのだと思う。ティンコフはコンタドールこそ欠いたが、マイカ=山岳賞、サガン=ポイント賞、クロイツィゲル=トップ10入りとチームラストイヤーを上々の結果で終えた。

 

フルーム(総合1位)

 通算3回目の総合優勝。ちょっともう、次元の違うところにいるなと。上り下り平坦TTチーム力どれをとっても最強でスキがない。今年は手堅いだけでなく、思いがけない奇襲があって面白かった。それを可能にしたのが独走力で、2つのTTステージではそれぞれ2位1位と好成績を残しライバルから大きくタイムを稼いだ。2位との差は4分だったけども、やろうと思えばもっと稼げただろう。

 強すぎて関係者のコメントも淡白だった。「うん強かった」「強すぎる」みたいな。

 「手堅い」イメージを跳ね返そうとする意思を感じた。

 

バルデ(総合2位 + 04' 05''

 第18ステージの山岳TTにて、フルームについで20~30秒差にフィニッシュした3人(アルー、ポート、バルデ)のうちの1人。タイムを稼いだ19ステージはスカイに支配される前に集団から飛び出して逃げるという判断が結果的に良かった。チェックするかも微妙なとこのタイム差だったし、直後にフルームが落車するなど幸運が重なった面もある。とはいえこのステージ以外でも積極的な姿をみせていて、そういう戦う姿勢をみせていた選手が上位に入るのは納得感がある。

 

キンタナ(総合3位 + 04' 21''

 去年以上の大差をつけられての敗北となった。フルームに対して敗北したと言われるのはこの人だけだね。1週目はフルームに「接着剤のよう」と言われるほどに、フルームから離れなかった。実際はスカイのペーシングですでにやられていて、そこから違いを生み出す力がなかっただけだった。アレルギーのせいで全力を出せなかったみたいな話もあるけど真偽はわからない。そういえば去年は発熱があったとか。今年はフルームに対して1度もタイムを稼ぐことができなかった。メディアに語る言葉も少なく、いろんな意味で埋もれてた。

 TTでスペシャリスト級のタイムを残すフルームに勝つには山でアドバンテージを作るしかない。しかし山でも支配的なフルームに対してもはや打つ手が。。。

 

イェーツ(総合4位 + 04' 42''

 2週目からその傾向があったが、集団後方に位置することが多かった。ちぎれることも多かったがそこから復帰することも多かった。終盤は戻れないことが増えて表彰台から落ちてしまったが、それでも4位に踏みとどまった。新人賞のライバルであったメインチェスにはTTで差をつけ、新人賞ジャージを守り切ることに成功した。

 

ポート(総合5位 + 05' 17''

 今大会で最もフルームに近かった男だった。去年もある意味そうだったけど…。ドーフィネでもフルームについていけたのはこの人だけだった。最後はその積極性ゆえの脆さから落ちていったが、戦う姿勢でいうと総合勢で1番だった。しっかりとしたアシストがいてトラブルもなく走ることができれば表彰台最右翼だろう。相棒のTJヴァンガーデレンは、17ステージグルペットという致命的な遅れで総合争いから脱落していった。

 

バルベルデ(総合6位 + 06' 16''

 キンタナはこの人がいなければさらにタイムを失っていただろう。ジロから連戦なのにキンタナより元気な日もあった。また逆に集団後方に沈む苦しい日もあったが、そういう日でも捨て身のアタックをするなど、献身的な姿が印象的だった。

 

インチェス(総合8位 + 06' 58''

 イェーツとは2分16秒差の新人賞2位。上位勢全員に言えることだが、最後まで集団に食らいついていたことが良かった。イェーツより集団に食らいついていた=登れるが、TTでは遅れをとるといった印象。新城選手がたびたびコメントを出していたので親近感があった。

 

モレマ(総合11位 + 13' 13''

 例の12ステージで抜けだしたうちの1人。TTも総合勢のなかではいいほうで、上位をキープしていたが、3週目になって大崩れしてしまった。それまではついていけてた登りについていけず、アシストもいないため集団との差がみるみると開いていった。いろいろと話題のトレックの選手。

 

アルー(総合13位 + 19' 20''

 最終20ステージにまさかまさかの大失速。その日は13分遅れでアシスト4人とフィニッシュした。最後の最後に力尽きてしまったという感じか。尻上がりに調子があがって20ステージはチームも万全だっただけに残念でならない。正直、戦前の体たらくに比べると、結果こそトップ10入りを逃したものの、かなり良かったのではないかと思う。意外にTTも良かったし、積極的にアタックする姿も多くみられた。出場するたびに順位をあげていきそうな予感がする。

 チームメイトのニーバリはやはりオリンピックへの調整的な走りっぽく、自由奔放に最後まで無理しないで終わった。ジロでのシリアスな走りが記憶に新しいのでギャップが面白かった。

 

 他印象に残った選手はパンタノ、コカール、アラフィリップかな。パンタノは下りが強烈だった。コロンビアということもあって登りも早かった。IAMが解散するので移籍先に注目。コカールはトップスピードではキッテルに届くレベルまでになってて、ステージ優勝は時間の問題だろうね。アラフィリップは将来性がありすぎてどんな選手になるのか予想もつかない。

 

 

 総評

  ティンコフさんが「フルームの時代が終わったらかえってくるよ」的なコメントを残したように、勝負にならないほどフルームが強すぎた。そして年齢的にもチーム的にもその優位はしばらく揺らぎそうにない。

 ツールは他のグランツールよりシリアスな面があって、地味な勝負になりがちである。サッカーでたとえるなら、トーナメント戦でよくある全員下がって全員仕事をするクッソ固い守備同士の戦い。今年のスカイはライバルにゴールチャンスすら与えなかった。今年はフルームが個の力でライバルを圧倒してしまったので、スカイのコントロールがオーバーキルのようにみえた。

 そういうわけか最近はフルーム個人への攻撃よりもスカイへの攻撃のほうが多くなっているかな?マシンドーピングの次はブレインドーピングみたいなトンデモ話まで出てきて…。

 フルーム個人へのリスペクトは高まっていると思います。発信するコメントはどれも紳士的であり好感を持てます。表彰式でのスピーチも感動的だった。

 

 今年はリザルトだけみると地味なんだけど、リザルトに残らないドラマがいくつもあった玄人好みの大会だったと思う。誰かが勝ったことよりも、何かが起こったことが印象的。モン・ヴァントゥでのランニングだったりパンタノの下りだったり、アラフィリップの涙だったり。

 グランツールはいち視聴者としても完走する喜びがある。長い夢をみていたような気分だ。

 あぁ終わってしまったなぁ。

 

 

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