GOD_SPEED_YOU

ゲームの感想など

楽天イーグルス2018シーズンを振り返る

去年は前半戦だけで貯金20、今年はそれが借金20

うそみたいなほんとのはなし

 

 

 

開幕前

godspeedyou.hatenablog.com

  ↑↑内容の8割は去年の分析だけど^^;

 

今年も投手中心

投手が作った大幅なプラスを野手で食いつぶすのが毎年のスタイル。

 まさに、この通りの結果となった。

 

結局、投手のチーム

 イーグルス投手力のチームです。とはいえ、野手に文句が言えるほど投手陣が完璧だったわけではない。1点台が3人という異常に強かった中継ぎは当然のごとく悪化し、守護神松井のスランプによって勝利の方程式は崩壊した。先発に目を向けると、エースの則本がシーズン通してピリっとしない出来。一方、は安定した投球を続け、最多防御率のタイトルを初めて獲得した。また去年3本柱の一角として2桁勝利をあげた美馬を始め、3番手以降に信頼できる投手がいなかった。とはいえ、去年に比べてボロボロでも、今年は球界全体を通して打高が目立った年であり、相対的にマシだったほうではある。

 

野手~何がだめだったのか~

 すべてが低調。去年後半の打線がそのまま引き継がれ、頼りにしていた外国人3人もそろってブレーキ。後半になってアマダーを中心に盛り上がり始めたが、そのアマダーがドーピング問題で離脱。中心選手を失った打線に力はなく、そのまま静かに落ちていった。

 

 去年の躍進を支えた1、2番コンビ、茂木ペゲーロの不振は象徴的だろう。リーグトップクラスの打者だった2人が、規定にのれないほど落ち込むとは思いもしなかった。その他外国人2人についても上記の通り。シーズン途中で獲得した新助っ人もからっきしだった。日本人に目を向けるとヒットメイカ銀次がオープン戦からの不調を長く引きずり、ここ数年で最悪の成績。反対に今江は契約最終年といったこともあってかイーグルスに来てからは最高の成績。それでもぎりぎりOPS7割ほどなので際立って良かったとは言えない。キャッチャーは、本当にもういろいろと限界な感じで、守備はともかく、打撃はもう投手みたいなものだ。平均を下回るレベルであるのに、それすらも超えられないという悲しい捕手事情があって、今年もまたドラフトで捕手を獲得することになった。

 

 そんな低調な打線の中で奮闘したのが島内田中和基の両外野手コンビである。島内は今年最も信頼できるレギュラーだった。打率出塁率長打率、その他セイバー指標もろもろでもチームトップ。モチベーションを保つのが難しいシーズンだっただけに、このレベルの数字を残したのは素晴らしい。田中は新人王を獲得するなど今年最もブレイクした選手だった。開幕前の記事では、オコエとともに「2軍では実績十分だ」と書いているが、まさかここまで飛躍するとは思わなかった。特徴は圧倒的フィジカルにあり、打っては18HR、走っては21盗塁、守っては大ジャンプからのファインプレーと、とにかくそのスケールに驚かされた。課題としては打撃の粗さが挙げられる。試合数に近い三振数と低い四球率は今後改善できるか注目だ。また2人とも守備の面でのプラスが大きく、打てない日でも彼らがそこにいるだけでチームに恩恵があった。

 

 内田も面白い存在だった。オープン戦で首位打者を獲得し、梨田監督も期待を込めてスタメン起用を続けたが結果を残せず、そこから長らく苦労した……。タイプとしては率の低い、当たれば飛ぶスラッガータイプで、今季は200打席弱で12本のHRを放った。規定に乗るだけの、つまり倍の打席が与えられていたら20本は超えていただろうか……。とうとう待望の右のスラッガーが目を覚ましつつある。課題はなんといっても率の低さと精神面。シーズン序盤のスタメン抜擢で結果を残せなかったことと、得点圏打率の低さは無関係ではないだろう。まぁ実質ルーキーイヤーみたいなものだし、次第に慣れていくと思うが、わりと重大な欠点である可能性もあるので留意しておく。

 

 エース、守護神、4番、これがダメだったから、しょうがないわね。奇跡的な噛み合わなさは逆に愉快だったよ。

 

事件簿

 いやーありましたねぇ。

 

配置転換

 契約の都合もあるだろうからすべてが戦略室の責任とはいえないが、去年Aクラス入りを支えた指導者たちがこぞって入れ替わったのは良くないことだった。影響が顕著だったのが1軍投手コーチにヨシコーチが戻ってきたこと。ダルやマー君を育てた名コーチが常勝チームから戻ってきたことはいちファンとして当然嬉しかった。しかし同時に不安もあった。イーグルス時代には根性論というか、昔気質の投手起用をするタイプだったからだ。前任の与田コーチは自身が酷使に潰れたこともあってか、球数に気を使った投手起用をしていたこともあり、その落差が気になった。懸念は開幕戦から現実になった。エース則本が開幕戦でいきなり150球!! 月1度のお小遣いをもらった少年がその日のうちに全額使い果たしたかのようだ。「レギュラーシーズンのたかが1試合。大丈夫か」とても嫌な開幕だなぁと思ったことを覚えている。案の定則本はすぐにへたれ(球速の低下)、彼にとって苦しいシーズンとなった。ただフィジカル面で則本以上に懸念が大きい岸が、一時離脱はあったものの自身初の防御率のタイトルをとるなど絶好のシーズンを送ったことは驚きだった。酷使はリスクをあげるだけで、必ずしも成績低下にはつながらないということだろうか?

 それと打撃コーチもだ。本当にいたのだろうか? 選手の資質もあるだろうが、シーズン通して打線の浮上の目がなかったことはコーチの指導、修正力にも問題があったはずだ。

 

逆スタートダッシュ

 勝てないというより打てない。。。だのに勝ち継投も崩壊したとなると、もうお手上げとしかいいようがない。去年は前半戦だけで貯金20でAクラスを確定的なものとしたが、今年は借金20でBクラスを確定的なものに。わお!だね! ジェットコースターのような浮き沈みを楽しめるのはイーグルスだけ!!

 

監督交代

 6月16日。交流戦中での辞任。早すぎる感もあるが、それだけ黒星の重ね方がハイペースだったということだ。監督には現有戦力を上手く運用する采配力とチームをまとめる人間力が求められる。梨田監督は采配面では特に大きな問題はなかった……と思う。問題は後者のチームをまとめる力だ。チームが落ち込んで苦しいときだからこそ、モチベーターとしてチームの士気をあげる努力をしてほしかった。梨田監督は受動的な「見守る」監督だった。リーグ最下位となったチーム得点圏打率もそうだが、今年のチームは精神的に弱かった。

 

アマダードーピング問題

 貧打にあえぐチームの中で、7月だけでHR11本とひとり輝いていたアマダー。その絶好調期に事件は起きた。ドーピング陽性反応で6ヶ月の出場停止。大事件だと思ったのでこれについては別個に記事をあげた。

godspeedyou.hatenablog.com

 最大の問題は、検出された薬物が隠蔽薬と呼ばれるものだったことだ。筋肉増強剤や精神高揚剤のようなものであれば、無自覚に使用してしまっていたという言い訳も聞けないこともない。隠蔽薬(利尿薬)は隠蔽の役目でしか使用されない(処方されることは滅多にない)。ということからして、わたしは完全黒だと判断している。

 ドーピング問題以降、チーム全体が申し訳ないとばかりに縮こまり、一時はみえた最下位脱出の道も完全に閉ざされた。チームの名誉が毀損され、選手、ファンともども冷める事件だった。

 これは本当にあってはいけないことで、6ヶ月が過ぎたからといってまた起用するといったことには反対だ。

 

ホームで勝てない

 22勝50敗(.305)は歴代ワースト。反転させて負け率0.695と考えるといかに異常な数字かがよく分かる。ビジターでは勝ち越しているので、借金のすべてはここで作った。数字でみると貧打が際立った。報われない投手を何度も観た。

 ここ数年連続で伸びていた観客動員数(仙台)も久方ぶりに低下した。まあ、去年があれだけ激動のシーズンだったこと、今年も落ちたといっても満員御礼がいくつもあり、2万切れが逆に珍しいと思えるほど高水準が続いていることを踏まえると特に心配することはない……。

 

GM石井一久氏就任

 ゼネラルマネージャー(GM)とは、チーム作りの責任者のポジションで、これまでは戦略室と立花球団社長がその役目を担ってきた。わざわざ今設置する意味は、第一に責任の明確化、第二に立花球団社長の負担軽減にあると思われる。就任会見のときに同席していた立花球団社長が、「監督にかなり詳しくレポートを書いてもらっているが、それを有効活用できていない」と語っていた。チームを強化するという意思は統一されていても、各々の意見を汲み取って総合する役目を負う人が不在で、ふわふわとした意思決定が蔓延していたのだろう。これからはトップダウン的に石井GMが取り仕切る。

 石井さんは、天然のような発言ばかりが注目されるが、本質を捉えていて間違ったことを言わない人だという印象がある。本音を隠さないスパっとした性格は経営職にはピッタリだと思う。個人的に期待しているのは実はGM退任後のことである。あの口の軽さから「いやあのときオーナーの介入がありまして~」なんて暴露話をしてくれたら最高。

 

新監督は平石氏

 GMの人脈に期待したが、監督代行の平石氏がそのまま昇格となった。2軍監督時代の特集で、上に報告するレポートを作成している様子があったが、毎日レポートを届ける面倒な作業に文句ひとつ言わずに向かう姿勢は組織に忠実な社員そのものであった。今後石井GMからのお願いもよく聞いてくれそうということで起用されたのだろうと思う。代行になったのは捨てシーズンになってからなので、采配についてはまだなんとも言えない。チームをまとめる力は、あのPLのキャプテンでもあったわけだし期待したいね。 平石コーチから一言もらってうまくいったというエピソードも多い。人望面では不安はなさそう。

 さっそく秋季キャンプでカミナリを落とす場面が。かつての闘将のような、こういう緊張感を待っていた。

 

総括、ファンからみて

 投手 がんばりました

 野手 がんばりましょう

 

 ファンとしては、出鼻でシーズンが終了してしまったものだから、ただ一言、つまらないシーズンだった。気楽さという点では、11月まで緊張が続くAクラスチームのファンより幸せだったのかもしれない。単調な試合が多かったなホント……。日常系みたいな安定感。深夜にやっていたら面白いのに。いい時間にやるのはおかしいよ。負けてもいいからさ、覇気をみせて欲しいわね。

 来シーズンはさすがに今年以下ってことはないでしょう。今シーズンは盛大な前振りだったということにして乗り越えたい。おつかれさまでした。