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イーグルス2017シーズンを振り返る

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前半戦終了楽天イーグルス - GOD_SPEED_YOU

 

 最終順位3位

 

 ジェットコースターのようなシーズンでした。 じわじわと上り詰めて……一気にドーン!と……。 球団史上最多の30を越える貯金も終わってみれば半分に。これほどまでの快進撃も、大失速も初めての経験でした。まあでも例年より楽しめたことは確かです。

 

開幕前

 開幕前の注目はなんといっても岸の獲得でした。フィジカル面に不安があるとはいえ、エース級の投手。球団史に残る大補強でした。しかし下馬評は決して良くはなく、Aクラス予想は仙台で仕事のある解説者くらいで、岸の加入についても「岸でも不十分」「岸もそんなに活躍しない」というのが大方の予想でした。

 

予想外の快進撃

 そんな多くの解説者の予想を裏切った快進撃。特に注目されたのは茂木ペゲーロの1,2番コンビを軸にした打線の活発さ、それと則本岸美馬からなる先発3本柱の安定感でした。なかでも私的に最も大きかったと思うのは勝利の方程式の確立でした。去年まで松井福山の2人だけだったところにハーマン森原高梨菅原といった新戦力が加わったことで厚みが増し、盤石な試合運びができるようになりました。打線の調子がいいといっても、大量リードすることより接戦になる試合のほうが多いですからね。後半戦から打線が急速に冷え込むなかでも、この最後の砦だけはしっかりとしていましたから、CSでもそこそこ頑張れたのかなと思います。

 

 中継ぎ陣はシーズン通して大活躍でした。その結果、救援防御率は昨年より1点以上も向上。 昨年が酷すぎたにしてもこの数字は素晴らしいです。

2017 3.32

2016 4.53

2015 3.73  

2014 3.80

データで楽しむプロ野球 様より 

 

 大差でも勝つ。僅差でも勝つ。確かな手応えを感じる納得の快進撃でした。

 

 

 

崩壊の序曲

 交流戦のあたりからでしょうか、春先の好調が嘘のように打線から繋がりがなくなり、最小得点で逃げ切るというしんどい試合が続きました。怪我人も続出し、序盤大活躍だった茂木ペゲーロの2人がそろって抜ける始末。それでも得点力の低下は投手陣の一層の頑張りと外国人の長打力でカバーし、確実に勝ちを積み重ねていました。

 しかし打線は一向に底を打つことなく落ち続けていくのでした…。

 

衝撃の大失速!!

 8月、投手陣がついに崩壊。打線は試合をひっくり返せるような力はもはやなく、無抵抗な試合が続きました。投手陣崩壊といっても投手が夏場に調子を落とすのはわりと普通のことで、むしろ良くがんばりました。ただ問題は、打てない。それに尽きます。待てども待てども底を打たない。「誰か1人が」ではなく、全員が調子を落としました。先発の好投は見殺しに、後に控える勝ち継投には出番がこない。代わりに出てくるビハインド継投が決定打を打たれ終戦。たまに点が入ったかと思えば先発が吐き出すといったことも。このちぐはぐ感。これが連敗するチームです。さすがに負けが混んでビハインド状況でも勝ち継投をつぎ込むようになりましたが、打線が打たないかぎり結局は無駄骨になる。宝の持ち腐れ。圧倒的な貧打と投打のバランスの崩壊。よりによってもっとも試合の詰まっていた8月(26試合)に大不調が訪れ、結果7勝18負1分という月間成績で3位転落という悪夢の月でした。

 

コラレス(^o^)

 噛み合わない歯車、その最も象徴的だった試合が8/15の西武戦。楽天ファンにはコラレスのあれで通じるでしょう。Aクラス2チームとの直接対決という勝負の週、その最初の試合でした。首位から離されつつあるなか、最後のチャンスともいえる状況です。そのカード頭に登場したのがコラレスという先発投手でした。コラレス独立リーグから拾ってきた選手で、2軍では、中継ぎでボロボロ、先発でそこそこというパッとしない選手でした。ギリギリ2軍で及第点のロートル投手のプロ初登板初先発を、この大事な週の初戦に、しかも絶好調の炎獅子ライオンズにぶつけるという発想。最高にクレイジーですね。この頃はファンとしても打ちひしがれた気分が続いていたので、この采配に対しても「もうどうにでもなれ…」と他人事のような気持ちで眺めていました。

 

 待っていたのは非常な現実。3回7四死球5失点。覚悟してたとはいえ強烈でした。しかし、たまたまその日は打線が奮起し、5点ビハインドを一気に追いつき、直後に勝ち越されるもまたすぐ追いつくという執念を見せます。何かが、何かが起きようとしている!! しかし思い虚しく6回回跨ぎの森原が連続でHRを打たれて4失点。*1こうなるといくら回が深いとはいえ勝ち継投は出せない…。4点ビハインドの投手はそれはそれはアレなもんで、終わってみれば17-8という大差での惨敗。わずかに希望を持てた試合だっただけに余計にショックは大きいものでした。

 

 なにもかもうまくいかないチーム状況を表す象徴的な試合だったと思います。結果その週は全敗となり、優勝戦線から完全に脱落する結果となってしまいました。

記事できてた。記事作成者はよっぽど怒りがあったのでしょうね。

コラレスショックとは (コラレスショックとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

 

采配も裏目裏目

 前半戦は則本岸美馬の3本柱が強力で、誰かが崩れても他でカバーできる、絶対に大型連敗しないというのが強みでした。しかし後半戦に入り美馬の調子がおかしくなり、頼みのWエースは上位に当てるローテ再編が完全に裏目に出てしまいました。いくら好投しようが、援護がなければ勝ちはつかないのです。ただでさえ調子の悪い打線がリーグ上位の投手陣を打ち崩せるはずがないのです。偉い人にはそれがわからんのです。さらに厄介だったのは、こうした状況ほど気持ちを背負ってしまうエースの意地。梨田監督は選手の思いを尊重するタイプ。100球を越えての志願続投……。しかし打線がその意地に応えることはなく……。

 

 結果論ですけどローテ再編は失敗でした。たとえるなら数年かけて出来上がった戦艦がたった1回の海戦で撃沈したかのような……。勝ち継投を持て余したこともそうですし、ただでさえ少ない戦力の運用を失敗したらこうなるという絶好の例でしょう。今シーズンの敗因の一つだったのかなと。

 

楽天ファンの自分を見つめなおす

 歴史的失速はファンである自分自身を見直すきっかけになりました。本当にね、失速はね、ガッカリでした。死力を尽くした壮絶な試合を落とすとかならまだしも、無抵抗のつまらない試合ばかりでしたから。贔屓がどうこうじゃなくてシンプルに野球という競技がつまらない。試合どころかスポーツニュースもみない時期もありました。とはいっても完全に情報をシャットアウトすることはこの情報社会では難しくて……まあよくある夫婦喧嘩みたいなもの。本当に離婚するつもりはない。で、とうとう10連敗の時が来たのです…。

 

エースの涙

 物語は悲劇がもっとも美しいといいます。そして人は美しいものに心を打たれます。10連敗となった試合はまさに悲劇でした。則本がまたも好投し、8回まで首位ホークス打線を無失点に抑えながら援護がなく、そのまま9回も2アウトまでこぎつけながらヒット2本でサヨナラ負け。見殺しにされたエース。もうすっかり見慣れた光景でした…。

 

 失速が始まってからは、焦りと怒りと哀しみが入り混じったパニック状態で、最後には現実逃避的になっていました。あんなに入れ込んでいたのがウソのように距離を置き、他人事のように考え、その日の結末も淡々とした気持ちで受け止めていました。しかし悲劇のヒーローのあの涙する姿を見て、ふっとまた現実に引き戻されたのです。あんなに慣れ親しんだ選手が苦しんでいる。それを見てなんとも思わない人間がいるでしょうか? そこで私が抱いたのは純粋なる同情、憐れみでした。そこには他人の干渉など一切ありません。ただそれだけが応援する理由になりえると思いました。そうしてまた私はこのチームを応援しようと思ったのです。スポーツチームを応援する人の気持ちがわからないという人がいますけど、応援したい気持ちなんてこの程度なんだと言いたいですね。道端に財布を落とした人がいれば「落としましたよ」と拾ってあげ、これから試練が待っているという人に「がんばれ」と声をかけてあげる。彼らが悩んだり苦しんだりする顔を見るよりは彼らの喜ぶ顔を見るほうが私の心も気持ちいい。

 

 ちなみにこの次の試合は富山での試合だったんですが、藤平が6回までノーノーの好投で7回無失点、1点止まりだった打線も8回2アウトランナーなしから四球挟んでの5連打で快勝でした。自分が改心した直後だっただけに、ただの連敗脱出以上の意味を持った感動的な試合でした。

 

振り返ってみて

 終わってみれば3位と、前半戦終了時には優勝を狙える位置にいただけに「落とした」という気持ちが強いのは確かです。けれど悪くないシーズンだったなと思います。頭から尻まで楽しめるシーズンって正直このチームではあまりありませんからね……。またオマケのようについてきたCSでもライオンズを下してホークスをそこそこ苦しめての終戦でしたから、負けてもなお一矢報いた感があって晴れ晴れとした気持ちでした。

 

 今シーズンはチーム戦略がとてもうまくハマりました。銀次のセカンドコンバート、2番強打者論、バント最小、茂木離脱後のクルーズ獲得、これらは現場を越えた場所で進められたことです。もちろん最終決定は現場ですが。

 

 ただ戦略の一貫性でいうと、レギュラーは固定して欲しかったです。コンディションの問題なら仕方ないけど、ちょっと調子を落としたからといってすぐに打順をいじったり控えを起用しようというのはただ問題を先送りにしてるだけのように思えました。ただ前半戦はこの梨田采配が奇跡を生んでいました。前日好走塁を見せたルーキー田中を翌日いきなりレギュラーに抜擢して、その内容も三振三振と散々だったのに12回2アウトでも替えずに送ったら決勝ホームラン打っちゃった、みたいな。 フロントや首脳陣からすると手は尽くしたという感じかな。特にクルーズ獲得の判断は素晴らしかった。結果的にあまり戦力にはなりませんでしたが、本気で優勝を狙いに行くという気概を感じる、精神的にとても勇気づけられた出来事でした。 

 

星野副会長、突然の死去

 シーズン終了後のことですが、とても衝撃的なニュースでしたので取り上げます。この人の功績を語るととても長くなってしまうので割愛しますが、ただ言えるのはただそこにいるだけで意味のある人だったということです。球団は事前に知らされていたというし、必死の補強には理由があったのかな……。だとしたら悲しすぎる。来季に期待。

 

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*1:決定打を打たれた6回は通常であれば高梨ハーマン福山といった勝ち継投の出番でした。しかしこのとき松井が怪我で不在で、789は良くとも6回に穴が生まれていました。その6回でやられたのはある意味当然の結果だったかもしれません。