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2019シーズンを振り返る(投手編)

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2019シーズンを振り返る(野手編) - GOD_SPEED_YOU

 

投手編(この記事)

 

投手編

 

 先発不足&中継ぎ酷使。 

 

 

 

先発

イニング 防御率 勝敗 QS率

美馬 143.2回 4.01 8-5 52%

石橋 127.1回 3.82 8-7 52.63%

辛島 117.1回 4.14 9-6 33.33%

岸   93.2回 3.56 3-5 60%

則本  68回 2.78 5-5 50%

塩見 51.1回 3.16 3-1 62.50%

弓削 43.1回 3.74 3-3 57.14%

 沢村賞では日本版QS(7回3失点)を参考にしているらしいですが、本家QS(6回3失点)でもご覧の有様。今年最大の誤算は則本岸のダブルエースが開幕直前に離脱したこと。そんな中ただ一人規定に乗った美馬、先発転向が成功した石橋、中継ぎやショートスターターなども経たチームトップ9勝の辛島あたりが殊勲者。

 

 美馬はチームで唯一規定に乗った先発。チーム全体で3つしかなかった完投のうち2つが彼でした。ノーノー寸前なんてこともありましたね。防御率とかそんなのどうでもよくて、これだけイニング稼げるというだけで素晴らしい。彼が抜けたイニングどうやって埋めるんだ。

 美馬の次にイニングを稼いだのは今年飛躍した石橋。特に実績もないのに開幕戦の勝負所で救援登板して案の定逆転ホームランを打たれるというチームにとっても彼にとっても最悪な始まり方でした。その後もなぜかいい場面での登板が続き、リポートからはどうやら投手コーチのお気に入りらしいということだけ伝わって、個人的には彼もコーチもなんだかあんまり信用できないなぁと思っていました。そしてある日突然先発に回され、まあまあの好投。その後もまあまあを続け、まあまあ、まあまあ、と来て127イニング。防御率は美馬より良く、終わってみれば2番手として申し分ない働き。平均援護が3点台と低めなのに8勝というのはなかなかスゴイ。もうすっかり評価は逆転しました。彼の投球はカットとシュートのコンビネーションで打たせて取るスタイル。微妙な誤差で惑わす投球はある程度のスピードさえ維持できれば長く活躍できそうです。

 3番手は辛島。ある程度の球数を超えると素人目でもわかるくらい露骨にキレも制球も悪くなる。毎年体力がないと言われていますが、もはやこれはどうしようもない特性と考えたほうがいいのかもしれない。5回~6回途中に降板することが多く、18先発のうちQS率は3割ほどと寂しいが、試合自体はつくっていることが多かったです。それはチームトップの9勝という数字も証明しています。140キロにも届かない先発にしては十分すぎる成績。途中中継ぎに配置転換されたりオープナーを任されたりして2ケタまであと1勝届かなかったけれど、それでもチームトップの勝ち頭でした。

 。離脱は風物詩。たったの15先発で100イニングにも達しなかったが、数字自体はやはりエース級。15先発のうち6回以上投げられなかったのはたったの3回。投壊傾向のプロ野球で相対的に価値が高まっていると思います。ただ今年も援護に泣いた。岸先発でチームが勝ったのは3回、負けはその3倍の9回。ハイレベルな投球をしているのに本人だけでなくチームも大きく負け越している。この人に勝ちを付けられなければより上位に上がることはできないでしょう。

 塩見。今年はわずか9試合も5試合でQS。うち3試合がHQSと内容はエース級。とにもかくにも腰に尽きる。今年は椎間板ヘルニアの手術で出遅れ、後半戦始まってすぐにも再離脱。フルで投げられれば2桁勝利も夢ではないのだけど……。逆にこの人が投げていればもうそれだけでチームは上がっていけるということで、彼が一軍登録された!となったらそれだけでチームにハッピーなビッグニュースです。

 弓削(ゆげ)。190を超える長身ドラ4左腕が初年度から意外な活躍。先発2試合目でいきなり今年チーム唯一の完封を達成し、その後も先発でまあまあの投球。制球が良い大型左腕というと塩見を彷彿とさせるものがあるが、投球スタイルは独特。投球の4割がストレート、3割がカットと速球系で7割とかなり極端な配球で、ストライクゾーン優先でどんどん投げていくので見ていて気持ちいいし打たれるにしてもテンポが良い。制球も良く、打たせて取る投球がハマれば長いイニングを投げることも可能。ただ逆にハマらないパターンが来ると大炎上しがち。簡単に追い込めるのはいいものの、そこからの武器が変わらず速球&速球なのでそれに対応されるともはや長打が出るかいいコースに決まるかを祈るしかなくなる。

  福井カープとのトレードで加入。いい球投げるがノーコン。3勝1敗と勝ち越していて、そのすべての白星が西武からという謎の西武キラー。しかも全8先発のうち7試合でチームが勝っている。謎の援護運。早いイニングから打ち込まれるようになって二軍落ち。平均4イニングは先発としては厳しい。ポテンシャルは確か。

 

中継ぎ

松井 69.2回 1.94 38S

森原 64回 1.97 29H

青山 53.1回 2.70 16H

ブセニッツ 51回 1.94 28H

ハーマン 47.1回 3.04 21H

宋 45.1回 2.18 24H

高梨 31.1回 2.30 14H

久保 22.1回 2.82 2H

 こうして並べてみると先発に比べて充実しているのがよく分かります。ただこれだけ負担をかけた状態は長くは続かないだろうなという不安があります。

 酷使の象徴ともいえるのが松井で、38Sはキャリアハイだが同時に登板数68もキャリアハイ。セーブ失敗もありましたが、それ以上にセーブシチュエーション以外での登板が多く、2勝8敗という数字に悪い印象はありません。松井は隔年で成績が上下するタイプで、それでいえば今年は当たり年でした。速球とチェンジアップというシンプルなスタイルで十分通用しているのに、今年はスライダー(スラーブ?)を用いた新たな投球スタイルがドハマリしました。代名詞の大きなスライダーではなく、鋭く曲がる高速スライダーで、カウント球でも決め球に使える便利な球として多く投じました。実際、割合ではチェンジアップは1割ほどなのに対しスライダーは3割と去年とまるっきり反対の割合になりました。ただ松井の場合はその日の調子で、良かったり悪かったりするボールがあるので、たまたまスライダーに頼ることが多い年だったということもあるかもしれません。緩急のほかに鋭い変化をする新たな決め球も身につけ、いったいどこまで強くなるんだこの男は……って感じですね……。

 セットアッパーと定着したのが森原。昨年9月の復活登板での剛速球には驚かされました。今年もその剛速球は健在で、右肘手術前より明らかに球速もキレも増していて別人のようです。それまでは打たせて取る的なスタイルだったはずだったのに、復帰後は「打ってみろ」といわんばかりの剛速球とキレのあるフォークが武器で、求められる役割を大きく超えた大活躍でした。代表に選ばれてもなんら不思議でないほどの大投手だと思います。

 青山。数年前に戦力外だなんだと話題になった最年長のベテランがまさかここまで成績を戻すとは。やや勝ち継投よりの便利屋で、イニング53.1回に対して登板数は62と、ワンポイント的起用も多かったです。通算600登板は球団記録、現役では4番目の数字であり、チームのレジェンドを超えて凄まじい領域に達しつつある。ありがたすごい。

  ブセニッツ。ブラッシュと同じように最初こそ微妙な場面での登板が多かったものの、徐々に信頼を勝ち取りました。ストレートとカットで押していくスタイルで、いいときは凡打の山を築くが悪いときはけっこう連打をくらう。得点圏被出塁率が4割(被長打率も4割なので被OPSはなんと8割!)と、ランナーを2塁まで進めるとまず炎上不可避であることから、2アウトでも絶対的な信頼はできず、ファン目線ではしんどい投手でした。とはいえ22試合連続無失点を記録するなど、ランナーを出さなければ上々のピッチングするのも事実で、貴重な勝ち継投の1人としてチームに欠かせない存在でした。

 ハーマン。去年1.99の投手が3点台になったのは悪い印象がありますが、中身の数字はそこまで変わっていません。それどころか他球団の研究が深まる2年目も安定していたという点で良化したともいえるかも。序盤怪我や炎上で2軍落ちしたのはともかく、その後も外国人枠の関係で本人の思うほど活躍できなかったのだろう。来季はライバルに。

 (ソン・チャーホウ)は実質2年目のシーズン。昨年より悪くなった数字も多いがFIPは改善されていて、リーグ全体の中では相対的に良かった投手だといえる。ただ昨季とほぼ変わらないイニング数で球数が100球近く増えているのがやや気がかり。パリーグの打者には見極められつつあるのかなと思いました。

 代表に選ばれるほど球界においても貴重な左のサイドスロー高梨。去年の70登板から今年は虫垂炎による離脱もあってか48登板に。半数が1イニング未満というその場しのぎの戦術的な起用が多く数字に残りづらい活躍でした。たとえばWHIP1.53と飛びぬけているのは四球が多いからで、四球が多いのは慎重に攻めざるを得ない場面が多いからで。たった1人を相手に慎重に攻めて四球、そして降板ってことも良くありました。たった1人の相手にも肩はバッチリ作ってるわけで、寿命縮んで数字も落とすなんてプロ野球選手として最悪な1日ですよね。査定どうなってるんだろう。MLBでは来年からワンポイント禁止になります。NPBでもそれにならって最短でも再来年にも導入になりそうとのことで、救済となるか果たして……。 まあでも、あんまりよくなかったなあという印象はあります。ピンチに弱かった印象。実際得点圏では打たれてるけど、得点圏からの登板もあるわけで、、評価が難しい。

 久保、39歳。敗戦処理~ビハインド~延長戦まで広い起用法。22登板で2.82という素晴らしい数字。勝ちがつくのも3年連続。それだけいい場面でいい投球を続けているってこと。まったくの敗戦処理にしては強すぎるし、勝ち継投にしては弱すぎるという印象。チームにとって貴重な存在であることは間違いありません。

 

その他、福山が育成に、藤平は二軍で無双、釜田はショートスターターで活路?

そんな感じですー。

 

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